当社では木材を扱う仕事で、加工設備も社内に多くあります。また施工になれば現場作業となり、さまざまな工具を持参しますが、その中で最も危険な道具が丸鋸(丸のこ)です。
私も会社入社以来、20年間にわかり住宅の現場で仕事をしており、毎日会う相手は大工さんです。会社には15棟の大工用の木刻み小屋があり7社の工務店に貸し出していました。総勢40~50人の熟練大工さんが入れ代わり立ち代わり作業をします。そのような環境ですから、大工さんから丸鋸の危険性は何度も聞かされました。また指を落とされた方も1割以上いました。
私自身丸鋸を何度も利用し、何度かこの現象の経験があります。ですからその危険性も実感しています。
DIYがあたりまえのようになってきていますが、DIY初心者に丸鋸を使わせるのは問題と考えています。
当社ではキットデッキはDIY未経験や初心者の方のために開発しましたので、丸鋸を利用しない方法を選びました。
可能な限り工場で切断作業をするというものです。これはお客様の危険回避と木材の精度ある切断ができるメリットがあります。
丸鋸はうまく利用できている限り、非常に便利な道具です。威力ある工具です。威力があるということは、それが人の身体に触れた時に大きな損傷を与えてしまいます。
危険である理由は
1.キックバックという現象(下記に解説)
2.巻き込む(マフラーや長い髪など )
3.ハネる(木片や節を飛ばし、身体に当たる )
4.切れすぎる(スイッチ切る前に、コードを切ってしまう。)
などなどです。
当社で実際に利用している丸鋸、ヒヤリとした事は何度も。
丸鋸の事故の中でもっとも多いもので、丸鋸を利用していると必ず発生するものです。
適切な方法で作業していれば、可能性は少なくなりますが、それぞれの木材の性質によって発生する可能性があるので、ゼロにはなりません。高速回転するノコギリの歯が木材に挟まって動かなくなります、しかしモーターは回転しょうとするので、力の弱いところに反動がおこるのです。丸鋸を抑える力が弱いと丸鋸が飛び跳ねたり、木材の抑えが弱いと木材が暴れます。両方に抑えが効いていると、自分の方に向かってきます。この自分の方に丸鋸が戻ってくるような反動が最も多いと思います。また木材が跳ね返ってしますと表現する人もあります。この戻るときに膝などに回転する歯が当たるのです。
2019年7月5日 消費者庁は電動のこぎりの「キックバック現象」に関して注意喚起をしています。
死亡事故が発生したため医療機関関係から情報提供を受け集計したところ、非常に多くの事故が発生していたことが判明したとのことです。以下消費者庁のサイトより引用
【事例1】電動のこぎりの操作を誤り、右大腿部だいたいぶを切った。(2019 年4月 70 歳代 男性)
【事例2】発泡スチロールを電気のこぎりで切断中、誤って右手指を切断した。(2019 年4月 50 歳代 男性)
【事例3】板を電動のこぎりで切断中に、電動のこぎりが跳ねて、誤って左手の親指を切断した。(2018 年6月 70 歳代 男性)
【事例4】自宅で木材を電動のこぎりで切断中、木材の固定が甘く、切断中に木材が跳ねてしまい、木材の角が左手小指に当たり骨折した。(2016 年3月 50 歳代 男性)
どうしても利用しなければならない場合、初めて利用する場合は
1.事前に取扱説明書を必ず読み、書かれている注意事項を必ず守る。
2.意図しない方向に刃が跳ねる可能性を認識して慎重に作業すること。
3.作業は明るく整理整頓された場所で行なう
4.作業は適切な服装で行ない、防護めがねは必須、防じんマスクなども利用。
5.無理な姿勢ではなく、安定した姿勢で作業すること。
6.同僚や、自宅なら家族へ声を掛けてから作業を開始すること。
7.コードは切断物付近から離すこと。
8.「キックバック現象」を理解すること、必ず発生します。