日本では当社がウッドデッキを施工や製造するまでは存在しませんでした。濡れ縁とその同類物などがありましたが、利用方法や木の使い方がまったく異なります。
当時、アメリカやカナダなどではあたりまえのように住宅には付属しており、自分で作るのがあたりまえになっていました。米国などでは木材はツーバイフォー規格のものしかありませんので、それらの木材を使うことになります。
当社では早くからウッドデッキを施工していましたから、米国流の作り方も経験しました。しかし、米国と日本ではウッドデッキ環境が異なります。 まず気候と人の感性です。日本は雨と湿気があります。腐れの問題です。そのため接合部の設置面を少なく、また水のたまる箇所を少なくする必要があります。
感性の問題では米国は木を屋外で木を使っている期間が長いので、木の欠点やアバウトな施工は当たり前と思っています。ワレ、節、ネジレ、寸法誤差などです。
日本人は完璧を求めるので人によっては室内家具並みの精度や木の形態を求めます。
このようなことから一般のウッドデッキ教則本、ネット情報などのようなツーバイフォー工法的なものは(イラスト図a)はウッドデッキには向きません。
この構造体では床板の水平体を出すのが非常に困難です。また大引きの構造が複雑になり、床板が均一にならない可能性もあります。ビスの打ち方も慣れていないと接合する木材に命中しません。ツーバイフォー材では相手の木は40ミリ、当社工法では相手の木は90ミリで倍以上の余裕があります。
その点当社の束に角材の大引を載せて金物で接着するやり方は簡単で、DIY初めての人でもビスの打ち間違いがありません。
また、束石に金物付きを利用することは問題があります、これは、「4.キットデッキの魅力分解≪作りやすさ≫」束石編で述べさせていただきます。
ここでは大引きに一般的なツーバイフォー規格のものを使う場合と当社の角材を使う場合の違いを述べました。
この特長の強度、作りやすい、メンテしやすい、金物が見えなくてスマートなどの事柄はすべて構造に起因しています。ここではその構造について述べます。木の特性を知り尽くしているからこそ、当社で発明できたと思います。日本中のメーカーでこのことに気がついているところはありません。特許も取得しています。
木材は乾燥すると必ず収縮します。日本の社寺建築、伝統家屋そしてログハウスまでもが、収縮を想定した作り方になっています。問題は収縮の度合は木の繊維(年輪)方向によって異なっていることです。最大25倍の差があります。図を参照してください。
当社は日本で1-最も古くからウッドデッキの施工をしてきました。そのためさまざまな経験をしました。
初期のころは屋外での木の構築物は専門家ほど否定的でした。特に住宅関係の技術者や大工さんたちは、屋外で木材を使うことに驚き、また木材を水平に使うを非常識と言われました。当時は屋外では木材を縦に使うことが常識でした。濡れ縁は縦に使っていますよね。
最初の工事、つまり実験で利用したものはヒノキの間伐材をタイコ挽にして利用しました。次は米松のサバイフォー材に薬剤加圧防腐処理(CCA)した米松材を利用し、同時にベイトガ材も利用しました
CCA処理した木材は腐れやシロアリに対候性が高くウッドデッキなどの屋外の構築物には最適でしたが、利用しているクロムの成分が環境問題というNHKの放送で一斉に防腐工場は取り扱いをやめてしまいました。法律で禁止されているのではなく、海外でも利用され、現在でもその防腐性能はダントツです。
当社も利用できなくなり、その後米国産のレッドウッドを利用しましたが、米国の環境問題で利用できなくなりました。その後カナダのウエスタンレットシダーがカナダ政府の推薦で屋外用として急速に広がりました。ワレ、ソリ、ネジレなどの木材の欠点が少なく、軽く、耐用年数も領事館などの発表では40年くらいはもつ、と宣伝されていました。ところが日本での住宅環境では半分くらいのものです。当社が販売したレッドシダー製のキツトデッキは20年くらいで補修する人もいれば、7-8年で腐れが出てくる場合もあります。カナダでの耐久性にはおよびませんが、取り扱いがしやすいので、DIY初心者には合う木です。
国産のヒノキや杉を実験したこともあります。ヒノキは耐久性においてほ
ぼレッドシダーと同様ですが、シダーの節とヒノキの節、そして価格を検討したところ、ヒノキの利用はあきらめました。
スギは耐久性が悪く、赤身(あかみ・心材)だけで利用すると耐久性がありますが、現実的には辺材もまざりますので、これも諦めました。
ハードウッドではセランガンバツ(バツ)はインドネシア産の高耐久といわれる木材ですが、耐久性はありません。近くの幼稚園で他社が施工したもので3~4年で腐って、当社で補修をしたこともありますし、当社の実験でも屋外で使うことに無理があります。
オーストラリア産のサイプレスはそこそこの耐久性がありますが、節が多すぎてデッキには向きません。米国産のサザンイエローパインはUSJなどで大量に利用されていますが、住宅用のデッキ材の厚みにすると施工後数年で強烈な曲がりがでてきます。ビスを飛ばすぐらいの力があります。これも実験で終わりました。
アフリカ材はいつくか実験しましたが、臭気がするものや、価格などのこともあり採用にはいたりませんでした。
南米のイペは公共工事などではよく利用しましたが、一般的に言われるほど耐久性がありません。また安定供給という面でも不安があり、キットデッキには採用しませんでした。
ニュージランド産のデッキ材は耐久性40年、現地メーカーの20年保証などがあり、当社でも採用しましたが、施工後年月を経るとワレがでてきます。レッドシダーやウリンなどもワレがでますが、許容範囲の問題です。現在はキットデッキ用としては生産を中止しました。
ウリンは施工後ソリ、ワレなどが起こる木材ですが、当社の生産技術で解決し、キットデッキの高耐久版として生産しつづけています。
アマゾンジャラやイタウバは実験でも好成績で、価格的にも合い、お客様も扱いやすいので、キットデッキのラインアップになっています。
当社のキッドテッキはDIY未経験の方や初心者を対象としていますので、それに合う木材を利用しています。
このようなことから、お客様に余計な選択肢を与えず、最初から失敗のしにくい木材を選んでいるのです。
現在レットシダー、ウリン、アマゾンジャラ、イタウバの4種類です。
ただ、公共工事、お客様の強いご希望の場合は、上記以外に人工木材(樹脂木 )、国産スギ、国産ヒノキ、イペなどを利用しています。